2007年06月12日

共感を求める場で、違った価値観の表明は「思いやりに欠ける」


ムラ社会だとか、女同士のコミュニケーションとかそういった括りで語るつもりはない。しかし、タイトルのように考える人は存在するし、シチュエーションによっては誰しもが持っている一面であろう。勿論、男にも女にもだ。

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共感を求めているのであり、意見は求めていない


前回のエントリについて言及を頂いた。
「〜が好き」といった直後に「私は好きじゃない」といったように,全く違う価値観を示すのはちょっと思いやりに欠けるような気がする。盛り上がりに水を差してる気がする。「なぜ,それを今いうの?」と思う。
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幾度となくどこかで小さな話題となる「悩みごとを相談する時、相手は答えを求めていない」といったようなとこだろうか。

疑問なのは、自分の好みを表明することが「思いやりに欠ける」ことであると判定されることだ。
(相手を卑下したり、相手の価値観を否定することで自尊心を満そうとするのならば理解できるが)

では、逆のパターンはどうだろう。
「嫌い」と発言した後に、「私は好き」という場合だ。
これも、異なる価値観の表明であるので配慮に欠けるということになのかもしれない。

要するに、プラス方向でもマイナス方向でも、発言された価値観に対抗する価値観の表明は思いやりに欠け、言う必要がないとみなされる場合があるということだ。


「意見交換」とは


前回のエントリ
何故ならば、俺は大抵の会話や対話などにおいて相手が「好きだ」という対象について、自分が好ましくないと判断した場合、「俺は好きではない」もしくは「嫌いだ」と言うであろうから
… …
このように、そもそも「否定」ではなく、意見や価値観の違いの表明であり、そしてその理由はお互いの自分とは違う視点との意見交換でしかない。
suVeneのあれ: 好きな対象を否定される時に感じる嫌悪感について(追記)
と書いたのであるが、この「意見交換」についての前提が違うのかもしれない。
俺にとっての「意見交換」とは、どのように考えたり感じたりしているのかを聞くことであり、話すことだ。
議論や論理立てた話だけが対象ではない。
じゃぁ「我慢して黙ってて!」ってことかと言われると,確かに申し訳ない感じはするんだけど,「〜が好き」っていうのは意見交換ではないと思うのです。「嫌悪感」はたぶん言葉がキツイ。ただ,違和感は確実にある。「〜が好き」に対して,「・・・が好き」っていう返しだったら,まだわかるんだけど。
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もし前提が同じであると仮定すると、共感してくれる仲間が欲しいか、あるいは自分の話を聞いてほしいだけであるということなのだろう。
何にせよ、価値観の不一致(特に対立する)は、避けるべきだということである。

以下の部分は同意できる。
で,「自分も好きだけど,その好きさは間違ってるよ」みたいのが一番イヤなのです。「好きな対象を否定」というのではなくて,「自分の好み方」についてあれこれ言われたくない,と私は思ってます
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「好み」に正解も不正解もない。「好み方」への直接の否定は、まさしく価値観の否定である。これは、対立する価値観の表明とは根本的に意味が違うと考えるのだが、どうだろうか。


相手との距離感や何についての話なのかが重要


だということは、前回のエントリに書いた通りである。
こんな俺でも、相手との距離や話している内容によっては、無闇に否定する価値観の言葉を選ばないようにする場合もあるし、ただ相手が話を聞いて欲しいだけのようなら、口を挟まない場合も当然ある。
id:yumizou さんが、「思いやりに欠ける」と考えるのは、どのような関係の人と、どのようなシチュエーションでの会話を想定しているのだろうか気になるところだ。

追記: よくみたら、以下のような場面を想定してそうだった。
「私もそう思う」という人が現れてくれると,「おお,同士よ!」と大喜びなんだけれど,「私はそう思わないな,なぜなら〜」なんて言われても困っちゃう。だって,そんなこと聞こうと思って言ったわけじゃないのに。
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最後に


「思いやり」とは一体何に対する、思いやりなのだろうか。
少なくとも「人間としての思いやり」ではないはずだ。

異なる意見を表明された人への思いやりが足りないということだろうか。
しかし、それなら異なる意見を表明した人への思いやりはどこに。

id:yumizou さんのエントリに対して大いに共感する人に聞いてみたい話である。


関連エントリ


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suVeneのあれ: 好きな対象を否定される時に感じる嫌悪感について(追記) はてなブックマーク数

posted by suVene at 02:40